ミニ四駆用差込バイト
概要  ミニ四駆の部品はとにかく小さいので、普通のバイトでは精度良く作る事ができません。そこで、費用も節約できる小さな差込バイトを作りました。


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勢揃い
 左から、剣先、平、突っ切り、穴くり、です。手前にあるナットが、お馴染み2ミリのナットです。大変小さなバイト達です。
 材質はSK2(炭素工具鋼)です。超硬やハイス全盛のご時勢に時代錯誤の感もありますが、高速(高温)で切削できない点を除けば、きっちりと熱処理した炭素鋼の方がハイスよりも硬度も靭性も高いのです。

ホルダーに取り付けた剣先バイト
 45度に穴を開けて、割りを入れたホルダーにバイトを差込み、6角皿ネジを締めて固定します。

ホルダーに取り付けた穴ぐりバイト
 上のホルダーのもう一方は垂直に穴をあけて、穴ぐり用のバイトを差し込みます。

ホルダーに取り付けた突っ切りバイト
 穴ぐりを差し込んだ穴に逆向きに突っ切りを差し込んで使用します。

小ささ
 バイトホルダーに取り付けた刃先をアップで撮影したものです。横にあるナット(2ミリ)からバイトの小ささが分かります。
 このバイトを使えば、デルリンのローラーのベアリング取り付け用の、5ミリの穴を精密に加工する事が出来ます。

アナクロ自作刃物
 これらのバイトの作り方を説明します。
・材料の入手
 大型工具店で取り寄せる、あるいは、電話帳等でハガネ屋さんを見つけて、SK2かSK1のシャフトを入手します。また、折れたタップや、ヤスリ、ドリル等、炭素鋼であれば、これを利用出来ます。(SKSでも良い)
・焼きなまし
 バーナーで真っ赤に(十分に)焼いて徐冷し、焼きなます。(焼きなますと軟鋼と大差ない硬度になり、自在に加工出来ます)
・加工
 金鋸、フライス、ヤスリ、等を使って、好みの形に加工する。(今回は簡単な治具を作って、全てフライスで加工しました)
・焼き入れ
 ヤットコか、無用のラヂオペンチで刃先をはさんで、バーナーでシャンクから熱し、真っ赤にする。
 真っ赤なまま、水に浸ける。
・焼き戻し
 水から取り出し、シャンクや刃の裏を水ペーパーで磨き、黒皮を取り除く。(焼き戻しの色が良く分かります)
 再びヤットコではさんで、シャンクからゆっくりと熱すると、熱した部分が、最初に、薄い茶色、次に、青、そして、黒、と言う感じで表面の色が変化する。この色の帯が移動して、刃先が薄茶色になったときに、水に浸けて温度上昇を止める。
・P.S.  高速切削が可能な超硬工具が全盛となり、刃物の自作が不可能になった事と、NC工作機械の導入で、精度の良い刃物が大量に必要になった事から、工場では刃物を自作する事が少なくなっています。
 しかし、趣味としては、刃物の自作は大変楽しく、また、安価に様々な刃先を準備出来て、喜んでいます。
★さらに詳しくは「ミニ旋盤を使いこなす本」(誠文堂新光社)に書かれています。