リングバンパーの形状と特徴
概要  リングバンパーは、車を取り囲む形で、構成されるバンパーで、剛性の向上の為に、以前から利用している手法です。
 簡単なものから作りはじめ、次第に欠点を克服して改善して来ました。
 その種類と特徴をまとめてみます。
 現在は、すべての構造材を垂直に使用する「垂直構造のリングバンパー」が最も良い結果を出しています。
 この構造は、97年から、とある理科の先生が提唱していたのですが、当方の工作技術の未熟の為に実現出来ず、98年に入って、漸く製造が可能になったものです。

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通常のバンパー
 普通良く見られるバンパーです。欠点は、ローラーを傾ける力に対する剛性が低い(この剛性を、シャーシの強度に頼っている為です)事です。この剛性強化の為には、シャーシに強化を行なう必要があり、厄介です。
 ローラーが前後に傾くと、コーナーでローラーがフェンスに接触している場合には、丁度ステアリングを切った状態となり、マシンが上へ飛び出してしまいます。また、左右に傾くと、リフトイン、リフトアウトを生じてしまいます。
 しかし、ローラーに加わった衝撃は、ローラーが傾く事と、シャーシが変形する事で吸収され、ローラーの破損等のトラブルは起きにくい利点があります。

水平構造のリングバンパー
 初期に採用したリングバンパーです。
 前後のバンパーをつなぐ構造物を車体の両脇に配置し、これを、前後のバンパーと一体化する事で、強度を増し、ローラーを傾ける力に対する剛性をある程度向上させました。
しかし、ローラーの位置を保持する剛性は高いものの、ローラーの角度を支持する剛性はそれほど高くなく、ローラーを手で持って傾けると、ぐらぐらと動きます。
 また、ローラーの位置を保持する剛性が高すぎ、フェンスとの衝撃のショックをローラーが強く受け、ベアリングを損傷する場合もあります。

拡大図
 前から見た所です。一枚のFRPから削り出しており、構造は単純ですが、材料に無駄が多いです。
 このバンパーが、雲の様にマシンを取り囲む事と、早く走って欲しいと言う願いを込めて、リングバンパーの装着車には、「錦斗雲○○」と言う名称を付ける事にしました。

一部垂直構造のリングバンパー
 水平構造のリングバンパーの欠点を解決する為に、ローラーを前後に傾ける力に対する剛性を向上させる目的で、サイドバンパーに縦方向の板材を使用したバンパーです。
 前後方向においては、完全な剛性が得られます。しかし、左右への傾きについては、剛性が低く問題がありました。このため、前後のバンパーには、カーボンを使用する等の工夫が必要です。
 また、最も柔軟性の必要な、前からのローラーへの衝撃が殆ど吸収されず、ローラーの損傷の問題は解決していません。

拡大図
 前から見た所です。サイドバンパーが縦方向に配置された板材で構成されている事が分かります。前後のバンパーをサイドバンパーに貫通させて接着しています。

(完全)垂直構造のリングバンパー
 前後、左右のすべてのバンパーに、垂直の1.6tグラス材を使用する事で、ローラー前後に傾ける力、また、左右に傾ける力の何れにも、高い剛性を持ったバンパーです。
 同時に、前からの衝撃も、横からの衝撃も、リングの変形で吸収出来、ローラーへの衝撃も大幅に軽減されました。

拡大図
 サイドバンパーを、前後のバンパーに貫通させて接着しています。

軽量化垂直構造リングバンパー
 アルミ合金を使用していたローラーステイをカーボンに変更し、同時に前後のバンパーに1.2tのグラスを使用すると同時に、これを湾曲させて水平部品を小型化し、軽量と高剛性を実現したバンパーです。
 前後バンパーの湾曲によって、前後左右の衝撃が、リングの変形で吸収出来、ローラーへの衝撃が更に軽減されました。可変スラスト機構によるコース適応力もあり、現時点では、最高の特性を持つバンパーです。

拡大図
 ローラーステーは極端に小さくなっています。