電池の個体差と追い充電の効果
概要  電池の電圧が高ければスプリントではタイムが短縮します。また、容量が大きければ、耐久レースのピット回数を減らす事が出来ます。
 ですから、電池については十分に研究し、最も良いコンディションで使用する必要がありそうです。ところが、電池は化学変化を利用した部品なので、なんとなく捕らえ所がありません。
 ですから、電池については、イメージで捕らえられたり、経験則が重要視されています。また、少しぐらい電池の特性を測定しても、これら経験則を超える方法を見出す事はとても出来そうにありませんが、経験則を裏付ける事くらいは出来るかも知れません。
 そこでとりあえず、充電した電池に0.68Ωの抵抗を接続して放電させ、どのように電圧が下がってゆくのかを、測定してみました。
 充電に使用した電池はすべて、三洋のN−3USです。2Aの定電流で充電し、充電終止温度は40℃です。充電終止時には、充電電流を減らして5分間の間、電池温度を40℃に保っています。

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電池の個体差
 まずは、電池の個体差を調べてみました。放電の最初の部分を見ると、青が1.41V、赤が1.39V、緑が1.36Vと個体差が現れています。これだけの電圧差があると、タイムに大きく影響します。
 ですから、複数の電池から良いものを選別する事は決して無駄では無いようです。
 また、僅か3例の測定からは断言出来ませんが、最初の電圧の高い電池は、容量も大きい(長持ちする)傾向があるようです。

追い充電の効き目
 続いて、ミニ四駆で良く利用される「追い充電」の効果を調べてみました。赤が充電したて(40℃)、青が充電後一日放置したもの(室温)、緑が充電後一日放置したものに追い充電を掛けたもの(40℃)です。
 充電したての電池は全体に電圧が高く、最高電圧は1.39V、平坦部の電圧は1.2Vです。これに比して充電後一日放置した電池は電圧が低く、最高電圧は1.29V、平坦部の電圧さえ低く、1.18Vとなっています。また、充電後一日放置した電池は容量も小さくなっています。
 そこで、追い充電を行うと、最高電圧は殆ど見劣りしない程度に回復しました。しかしその後、電圧は比較的急速に低下し、平坦部の電圧は1.18Vと変化がありません。
 しかし、放電後期の電圧低下は少なくなり、全体に電圧は上昇しています。充電後放置した電池の電圧が、「なで肩」状に電圧低下しているのに比べて、追い充電を掛ける事で、肩の部分を上に持ち上げる事が出来るようです。
 このように見てみると、追い充電では、最高電圧を、充電直後の電池に近い程度に高められるものの、放電特性全体を、充電直後の電池と同じほどに改善する事はできないようです。
 応用面では、追い充電は、スプリントには有効ですが、耐久レースには、充電直後の電池が望ましいと思われます。特に、ブリッジのある耐久レース(スピードの出過ぎが危険)で、追い充電した電池を使用すると、最初の最高電圧でコースアウトの危険があるのに、中盤以降速度が出ない、と言う問題がありそうです。