リニアモータポンプ
概要  前回試作したボイスコイル駆動のポンプでは、十分な揚水高が稼げなかった為、設計を変更して、リニアモータでピストンを駆動するタイプのポンプを試作しました。

 結果は良好で、揚水高65cm、一拍あたりの吐出量1.7mlと十分な性能を得ることが出来ました。

 コイルの発熱は効果的に水冷され、また、電気回路と温水は完全に遮蔽されています。サイズも小さく満足の行くものです。


←1つ戻る ←←目次へ戻る

全体
 モータを思わせるデザインです。鉄製の磁気回路をポリアセタールのカバーで挟み込み、4本のビスで固定しています。
 右へ突き出しているのは、シャフトではなくて、吸水パイプです。


側面
 温水は、右から入って、左へ吐出されます。
 内部には、貫通穴を設けたピストンがあり、ピストンの左右が、心室と心房として機能します。
 弁は、左のカバーの裏側と、ピストンの左側に設けています。

部品
 左上の白い筒がボビンで、その右にあるのがピストンです。ボビンはポリアセタール樹脂から旋削しています。
 ピストンは、ドーナツ型のネオジューム・ホウ素・鉄磁石をエボキシ樹脂でモールドした上で、旋削したものです。樹脂の厚さは0.5ミリで、中心に4ミリの穴が貫通しており、水はこの穴を通ります。
 四角い白い部品がカバーで、これも、ポリアセタール樹脂をMDX職人を用いて削り出したものです。この程度の形状なら、3DCADを使わなくても直接加工できるのが、MDX職人の便利なところです。

巻線したボビン
 ボビンは6つのセクションに分かれています。第1相は左から、右右左左右右と巻線し、第2相は、その上から重ねて、左から、右左左右右左と巻線します。
 このコイルに90度位相の異なる三角波電流を流すと、移動する磁界が生じ、内部のピストンを動かします。
 ボビンの厚さは0.5ミリと薄く、また、ボビンの中には温水が流れていますから、コイルの熱は効果的に放熱されます。

実験中
 パイプを接続して実験しているところです。三角波を発生させるアンプはまだ出来ていないので、スイッチで電流を切り替えています。
 鼓動に合わせてパイプがピクピクして、不気味です。とても機械とは思えません。