ガンマ線スペクトル観察
CsI結晶とフォトダイオードによる
ガンマ線スペクトル観察


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ご案内

 シンチレータをフォトダイオードで読み出して、得られたパルスの大きさを集計するとガンマ線のスペクトルを観察することができます。
 小型のシンチレータで低線量の放射線を測定することを前提にし、取り扱う信号の周波数を音声帯域に抑えることで(通常はビデオ帯域が利用される)安価な部品を使用してガンマ線のスペクトルを観察しました。
 「ベクモニ」には「ベニクモ」!。ベクモニ2011等のソフトウェアMCAを利用した定量測定を予定されている方は、こちらのページで紹介している「Red Spider(ベニクモ)」ガンマ線検出器がお勧めです。シンチレータのサイズが大きいため測定時間が短縮されますし、チャージアンプ構成でエネルギー感度の温度依存性も低くなっています。


スペクトル測定例(青色:食用塩化カリウム 黒色:謎の鉱石粉)


本機の全体像

 写真右側がガンマ線を検知する測定ヘッド、中央がMCA機能を備えた測定回路、左側がPC接続ケーブルです。

測定ヘッド

 ガンマ線を検知して電気パルスを発生する測定ヘッドです。被測定物に挿入して利用できるように、コンパクトに作ってあります。内部に、シンチレータ、フォトダイオード、ヘッドアンプ回路が内蔵さています。

測定ヘッド

 測定ヘッドから引き出すケーブルはSビデオケーブルを使っています。このケーブルは2組のシールド線が入っているので、測定信号とバイアス電圧の双方をシールドして接続できます。また、Sビデオコネクタが予め接続されているので、コネクタ取り付けの手間が不要です。
 残念ながら秋月で販売しているSビデオコネクタはシールドがありませんので、他店のSビデオケーブルをご利用ください。

PC接続ケーブル

 安価に済ませるため、本機から直接ケーブルが出ています。

PC接続ケーブル

 水色はUSB電源ケーブルで信号のやりとりは行なわず、5Vの電源を得るためのものです。ダイソーの携帯充電ケーブルを利用しています。黒色はCOMポートに接続して、パルスの大きさを送信します。
 232Cケーブルは恐らくデジット限定品で「SEGAと書いてある9ピンD−SUBのケーブル」です。恐らくSEGAとは関係ないと思われます」

測定回路

 ケースには、ダイソーのはがき収納ボックスを使用しており、ワンタッチで開くことができます。丁度もう一枚Bタイプの基板が入る余地があります。

測定回路

 ケース右上に秋月のSビデオケーブルコネクタを使用して、測定ヘッドを接続します。このコネクタはケースの裏側から挿入して、表面からネジ止めできるので、基板に予めコネクタを付けておくことができて便利です。


検出ヘッドの作り方


フォトダイオードに貼り付けたシンチレータ

 シンチレーターは透明シリコングリスを塗って、フォトダイオードに密着させています。気泡が入らないように注意し、良く密着させます。取り外ししないのであれば、思い切って、透明タイプのシリコン変性接着剤で接着することもできます。
 フォトダイオードと密着する面以外は、水道管の接続に使うテフロンテープで覆い、シンチレータから出た光が乱反射するようにします。


ヘッドアンプの配線

 フォトダイオードの信号は微弱なので、フォトダイオードのすぐ裏で増幅します。2SK369、100Mの抵抗、1Mの抵抗、1μのコンデンサの4つの部品をはんだ付けします。1μのコンデンサはもう少し良いもの(積層セラミックでも良いが、せめてX7R品)を使わないと、振動を拾ってパルスが出てしまいます。とはいえ、静置して使えば何ら問題はありません。


ヘッドアンプの配線

 ヘッドアンプからはSビデオケーブルとは別に、スズメッキのアース線を引き出しておきます。アルミテープでシールドした後、このスズメッキ線をテープの上に巻きつけて、テープをしっかりとアースします。(銅製のテープが使えるリッチな人ははんだ付けできます)


テフロンテープを巻いたところ

 いきなりアルミテープで遮光したのでは回路がショートしてしまいます。そこで、予め絶縁性のあるテフロンテープ(水道菅にまきつけて、防水に使用するテープ、ホームセンターで売っている)を巻きつけます。シンチレーターで発生した光が、乱反射してまんべんなくフォトダイオードに入るようになるという利点もあります。


アルミテープで遮光したところ

 テフロンテープの上からアルミのテープで漏れなく遮光します。アースのスズメッキ線をケーブルを覆ったアルミテープに強く何度も巻きつけ、解けないようにその上から、さらにアルミテープを一周巻きつけておきます。
 例えば、センサに蛍光灯の光を当てると、PICが反応するような場合は、光が漏れています。このような場合は、光が漏れそうな場所を探して、その部分にテープを張り足してください。  スズメッキ線とアルミテープは接触不良を起こしやすいです。変なノイズを拾うようになったら、この部分の接触不良を疑ってください。

基板の作り方


回路基板

 間違えずに作れるように、部品の位置を印刷したシールを基板に貼って作っています。写真は開発中のもので、ページに記述されたものと少し異なります。
 紙シールを貼ると高絶縁の回路は作れませんが、本機では大きな問題はありません。


部品配置

 左上部が電源、右上がプリアンプ、右下がフィルタ、左下がMCAです。


はんだ面

 ついでにはんだ面です。配線の参考にしてください。


シールを貼った基板

 ユニバーサル基板にシールを貼ってから配線を始めます。
  1.  以下のリンクにあるファイルをダウンロードして、実物大でシール用紙(ノーカットタイプ)に印刷します。
     (普通にA4を選んで印刷すると、多くの場合実物大で印刷されます)
    基板シール(ワード)
    基板シール(パワーポイント)
  2.  シールの裏紙を一部だけ剥がし、秋月のBタイプ基板(片面、ユニバーサル、はんだ仕上げ)の部品面に(窓に押し付ける等して)裏から光を当てながら位置を合わせして、剥がした部分を貼り付けます。
  3.  裏紙を全部剥がして、シワができないように残りの部分を貼り付けます。
  4.  部品を挿す穴がシールで塞がれているので、めうち等でプツプツと開けておきます。
  5.  シールで指示された位置に部品を差し込んで、はんだ付けしつつ、裏面もシールの指示に従って配線します。
  6.  点線で描かれた部分はジャンパ線ですから、基板の裏でも、表でも、飛ばし易いところで配線します。


回路図と説明


本機の回路図
訂正:図中でNJM7044となっているのはNJU7044の誤りです

 本機の回路図は上図の通りです。各部について以下に説明します。

シンチレータ

 シンチレータは秋月電子通商で販売されている、SAINT-GOBAIN CRYSTALS社のCsI(Tl)固体シンチレータ 10x10x10mm(P-05293)を使用しています。10mm角程度あれば、捕捉率が高くなり、バックグラウンドで300CPM程度カウントすることができます。

フォトダイオード

 10mm×10mmの品ですが、友人に貰った試作品で仕様不明です。シンチレータに合わせて10mm×10mmのものが理想的ですが、S6775等の5mm角クラスでも利用できます。(S6775等と5mm×5mmのシンチレータでも動作を確認しています。)4つのS6775でシンチレータの周囲を取り囲み、全部直列(並列じゃないよ)にすると言うのに憧れています。

ヘッドアンプ

 一般にはフォトダイオードの信号を増幅する場合、ダイオードに生じた電荷をオペアンプの負帰還に接続したコンデンサに写し取る形式のチャージアンプが使われます。この方法はダイオードの静電容量に関係なく、生じた電荷を正確に測定することができます。
 ICオペアンプではノイズが問題になる場合が多く、ディスクリートのチャージアンプが多用され、例えば「てんま」の回路が有名です。お手軽な所では、ICオペアンプとFETによるダイオードのブートストラップという方法もあります。
 本機では、回路を簡単にするため、電圧アンプを利用してフォトダイオードの電圧を測定しています。簡単に言えば、百均のイヤホンマイクに使われる手抜きな回路です。このため、ディスクリート部分の部品は僅か数点です。
 フォトダイオードは光量に比例した電流を出力しますが、電圧は光量に比例せず光量とはlogの関係になります。ところが、シンチレーターで扱うような微弱光の世界では、このlogの関係が崩れて、比例するようになります。
 この電圧アンプの欠点はフォトダイオードの静電容量が変化すると、出力電圧が変動することです。つまり、フォトダイオードの交換で(あるいは、大きな温度変化で)静電容量が変化すると、同じエネルギのガンマ線でも異なる大きさのパルスが検出されます。
 とは言え、色々と取り替える程フォトダイオードがある訳ではなく、温度差の大きな環境で使う訳でもないので、この回路で測定に大きな支障は出ていません。

ヘッドアンプ

 測定ヘッドの部品点数を減らす目的もあり、安易にゲートバイアスを掛けずに使用されている低ノイズFET2SK369には、R4からドレイン電流が供給されています。同時に、ドレインはC4を通じてオペアンプの仮想接地点に接続され、交流的にはスーパーカスコードを構成して、帰還容量の影響を抑制しています。ドレイン電流の交流成分、ここではガンマ線によって生じたパルス電流はC4を通じて帰還抵抗R8に電圧を発生させます。  可能な限り利得を稼ぐためにソース抵抗が入っていないので、FET毎のIDSSのばらつきによって、ドレイン電圧は大きな個体差が発生します。このため、ドレイン抵抗R4の値はFETに応じて値を変更する要があります。具体的にはR4を基板の裏に付けた状態でドレイン電圧(TP1)をテスターで測り、R4の値を470Ω、330Ω、220Ω、150Ω(E6系列です)と交換して、電圧が1V程度になるようにします。
 フォトダイオードにS6775のような5mmクラス品を使用する場合は、より簡単な小型フォトダイオードのためのより簡単なヘッドアンプをお勧めします。

プリアンプ

 高gmの2SK369でゲインを稼いでいるので、オペアンプのノイズにはあまり神経質になる必要はなく、安価で多少低ノイズのNJM2068を使用しています。

プリアンプ

 各段の負帰還に入っているコンデンサC6とC8は、波形整形回路のコンデンサと合わせて4段の単純LPFを構成するためのものです。

波形整形

 1段のハイパスフィルタ(と、それに併設されたポールゼロ補償(PZC)回路)と、2次のローパスフィルタ、及び、ハイパスフィルタで失われたDCレベルを復元するベースライン復元(BLR)回路で構成されます。

波形整形回路

 C9+R12のがハイパスフィルタで、C11//R14とC12//R16がローパスフィルタです。この2段のローパスフィルタが、プリアンプの2段のローパスフィルタと合わさって、合計4段のローパスフィルタを構成します。

PZCの動作イメージ

 R11はポールゼロ補償をしています。ハイパスフィルタを通すとパルスの後半がマイナスに振れるので、元の信号を少し混ぜて、これを補って平らにするイメージです。
 オシロがあれば、C13の左側の波形を見ながら、R11を色々と交換して、波形がゼロボルトから下に凹まないように調整します。
 R15がゲイン調節で、パルスを受けていないときに、ノイズでPICが反応しない値に調節します。オシロが無い場合は、バックグラウンドで300CPM前後カウントするように加減します。抵抗の値を大きくすると感度が下がり、小さくすると感度が上がります。
 右下の回路は簡易BLRで、物凄い数のパルスが来た時にC13による交流結合ではゼロボルトの位置(ベースライン)がマイナスに振れてしまうので、ダイオードがONになって0Vを保ちます。
 このタイプのBLR回路にはダイオードのON/OFFによってノイズを発生する欠点があるので(物凄い数のパルスが来ない限り)PZCがちゃんと効いていれば、OFFにしておく方がキレイなスペクトルが取れます。
 幸い、3000CPM以上のパルスを測定した事がないので、BLRが有効に機能した事は無く、ずっとOFFで使っています。
 波形整形回路の基準電圧が変動すると、パルス高がその分誤って測定されるので、基準電圧は抵抗分圧ではなく、TL431で2.5Vを発生させています。このため、不安定なUSBの5V電源で動作が可能です。

ピークホールド

 比較的遅いA/D変換レートで確実にパルスのピークを捕らえるため、ピークホールド回路を利用しています。パルスが到達すると、最高電圧がコンデンサC15に保持されるので、A/D変換の速度はあまり必要ありません。

リセッタブルピークホールド

 しかし、そのままでは次のパルスが感知できませんから、パルス高を読み取った後、PICがコンデンサを放電させます。具体的には、アナログポート(PIN2)をソフト的に一瞬だけLowレベルのデジタルポートに切り替えることで、追加の回路なしでコンデンサを放電しています。
 ピークホールド回路はエミッタフォロアを付加してインピーダンスを下げ、C15を急速に充電できるようにしています。とはいえ、オペアンプは容量負荷では振動を生じ易く、これがスペクトルに波打ちを発生させるので、R20を挿入しています。  エミッタフォロアの作用で電流供給力が増しているので、R20には低い値(33Ω)を使用することができ、パルスのピークを正確に捕らえることができます。
 この回路はトランジスタのB−E間に電源電圧が逆電圧として加わる場合があるので、5V以上の電源電圧で利用することはできません。
 ソフトウェアMCAを使用する場合は、より簡単なソフトウェアMCAのための回路を利用できます。

プリアンプ用電源回路

 ヘッドアンプは小さな信号を扱うので、電源ノイズの影響を受けます。このため、低ノイズのディスクリート電源を使っています。たとえば、三端子レギュレーターを使用すると、かなり大きなノイズが混じり、スペクトルが太くなります。

プリアンプ用電源回路

 ノイズの多いエミッタフォロアを避けた差動増幅のLDOになっており、TL431の発生させるノイズはC51+R53のフィルタで減衰させています。
 ダイオードバイアス用の−10Vの電源は電流が極僅かなので、TL431のシャントで安定化した後、大きな時定数のフィルタでノイズを除去しています。


ソフト

ソフトウェア

 PIC16F1827のC言語のプログラムと、VBで作ったWindowsのプログラムを使っています。ソフト一式は以下のリンクからダウンロードしてください。

PICとPCのソフト一式(実行形式入り)spectrum.zip
2012/02/28セーブできない障害を修正

PCのソフト

 232Cで受信した2バイトのパルス高を高さ別に集計してグラフを書くだけのソフトです。CSV形式でファイルを保存できます。

測定例

 青色がリファレンスとして測定した食用の塩化カリウム、黒色が我が実験室のバックグラウンドです。木製の机のためか、コンクリート造りの建物のためか、40kのスペクトルが強く出ています。

PICのソフト

 定期的にA/D変換を行い、今回の値と前回の値を記憶しておきます。前回の値が閾値(20くらい)を超えたら、パルスが来たと考えて、今回の値を2バイトの整数でシリアル通信のバッファに乗せます。同時に、アナログポートを一瞬デジタルポート(Low出力)に切り替えて、ピークホールドコンデンサを放電します。
 前回の値でパルスが来た事を判断して、今回の値をパルスの高さとするのは、今回の値で来たと考えると「実は、それよりもう少し大きなパルスだった」という場合があるためです。
 シリアル通信バッファは128パルス分ありますが、バッファフルの判断をしていません。バッファがフルした場合は、上書きされます。一見何も無かったかの如く動作します。
 性能としては、400μ秒間隔で来る2つのパルスを識別することができ、21000CPMまでは送信することができます。
 ボーレートを上げれば147000CPMまで測定できる筈ですが、簡単なトランジスタのインターフェースなので、ボーレートを上げるのは不安があります。(幸いそんなスゴイ線量に出会った事もありませんし…)

その他のTips

小型フォトダイオードのためのより簡単なヘッドアンプ

 S6775のように面積の小さいフォトダイオードは、バイアス電源を使用しないフォトボルティック(光起電)モードで使用することができます。面積が小さいと、静電容量が小さくなり、バイアスを掛けなくても大きな出力パルスを得ることができるからです。検出ヘッドの部品が2点と少なくなり、バイアス電源も不要となります。また、Sビデオケーブルを使わなくても、音声用の1芯のシールド線を使って、RCAピンジャック等で本体と簡単に接続できるようになります。

フォトボルティックモード用の回路

ソフトウェアMCAのための回路

 PCのオーディオ入力とPRA等の専用ソフトウェアを使って、より簡単にスペクトルを測定することができます。この場合、PICによるピーク検出は不要で回路も簡単になります。
 PCのオーディオ入力(LINE IN)は極性の定めが無いように思います(未確認)ので、Negative/Positiveの2出力から調子の良い方を選んでご利用ください。

ソフトウェアMCA用の回路

 ソフトウェアMCA専用に設計すれば、さらに簡単な回路も可能なので、近いうちに発表しようと考えています。→と言う訳で、このページで試作した回路を紹介しています。
 また、ベクモニを用いた定量測定にも対応した、より精度の高いチャージアンプ方式の低雑音アンプとセンサ、各種周辺器具も試作しました。こちらベニクモをご覧下さい。近々ちゃんと書きます。

ローパスフィルタ

 高い周波数の領域には、熱雑音を主とするノイズが含まれているので、不要な高い周波数成分んをローパスフィルタで、できるだけ急峻に減衰させます。
 しかし、パルスの波形を保つ必要があるので、一般には群遅延特性が単調なベッセルフィルタが、より高度な方法としては、群遅延リプルを押さえて、群遅延特性が高域まで伸びるガウシアンフィルタが使われます。
 ただしこれらのフィルタは精度の高いCRが無いと実装できません。無理に許容差の大きな素子でごまかすと、逆にピークができて性能が劣化します。
 そこで本機ではピークの無い、一次のCRフィルタを4段重ねることで4次のフィルタを構成しています。

全体の周波数特性

 上図は、HPF、PZC、LPF全体の周波数特性です。本機の4段1次CRフィルタは、4次ベッセルフィルタとくらべて肩が丸く、信号はより小さく、ノイズがより大きくなっていることが分かります。しかしその差は少ないので、素子の誤差によって特性に致命的な影響が生じず、無調整で利用できる回路を選択しています。
 プリアンプですでに2段のフィルタが施されているので、残り2段分をフィルタ回路で追加しています。いずれも、オペアンプの帰還路にCを入れるおなじみの回路です。(オペアンプの動作安定化にも寄与します)

鉛容器

 バックグラウンドの影響を軽減するには遮蔽容器があると助かります。遮蔽物質は重たくて、線が出なれれば何でも良いのですが、コンパクトに作ることができる鉛が一般的です。
 鉛レンガで測定部で測定部を囲むだけでも効果があり、小さな隙間は多くの場合あまり問題になりません。
 ここでは、厚さ15mmの円筒形鉛容器を作ります。バックグラウンドが5分の1程度に減少します。経験の無い方には大変危険な作業ですから、知識として参考にするに留めてください。大火傷や失明の可能性があります。

概要図

 大きな空き缶の中に、小さな空き缶を固定し、その隙間に鉛を流し込むことで、砂型を作らずに鉛を鋳込むことができます。丁度良い高さの空き缶が無い場合は、不要な部分を切って使うことができます。(切り口がサンドペーパーで丸めておきます)

蓋の概要図

 同じように、大きな空き缶を薄く切って、鉛を流し込めば蓋が作れます。ここでは、鉛を溶かす坩堝は100均のステンレス雪平鍋ですが、取っ手が熱と重さで壊れるので(実際に壊れて、溶けた鉛が飛び散りました)図のように工具で挟んで持ち上げます。

鉛を溶かしているところ

 安全な場所で万全の装備をして、坩堝で鉛を溶かします。(もちろん、コンロメーカー、鍋メーカーの定めた正しい使い方ではありませんから、全ては自己責任で行なってください)机の上でやると零れたとき大火傷をするので、地面で作業する方がまだマシです。

鋳込んだ鉛

 小さな空き缶と大きな空き缶の隙間に、鉛を流し込んで充分に冷えるまで待てばできあがりです。

15mmの鉛遮蔽で測定したバックグラウンド(青)とモザナイト(黒)

 エネルギーの低い部分を中心に、バックグラウンドが低くなります。

同じく遮蔽して測定した低ナトリウム塩味調味料



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