Red Spider 「ベニクモ」


1cm角CsIシンチレータとS6775フォトダイオードによる
ベクモニ用ガンマ線検出器


ご案内

 ベクモニ2011で使用することを前提に、チャージアンプ構成で精度と安定性を高め、回路を単純化したガンマ線検出器を製作しました。低ノイズの限界を追求するのではなく、ある程度のノイズに抑えつつ、安定度と精度、再現性を高めることを念頭に設計しています。
 10mmシンチにS6775を取り付けることでセンサー部分をスリム化し、少量の試料でも効率的に測定できるように工夫しています。
 チャージアンプは、電圧アンプに比べて出力信号が小さく、ノイズでは不利になりますが、入念にノイズ対策を行なって、10mmシンチとS6775ダイオードの組み合わせで、ノイズレベルを100keV以下に抑えています。
 プローブの先端は気密性があるので、水溶液に挿入することもできます。(プローブはアルミ製ですから、酸性の試料にはご注意ください。また、汚染防止のためプローブが試料と触れる場合はラップ等でカバーしてください)


概要


 USB(電源)とオーディオ入力でPCと接続

 本体から、PC接続ケーブル(USB+オーディオ)とプローブが出ています。プローブはUSB−TYPE−Bコネクタで着脱できます。

 プローブが細いので試料に挿入して効率良く測定が可能

 1cm角のシンチレータと周辺回路が直径約16mmのハウジングに収められています。シンチレータと試料の距離が短くなり、効率良く測定できます。

遮蔽容器に挿入して測定

 遮蔽容器の作り方は別のページで紹介しています。鉛を鋳込むので危険です。

収納・持ち運び


プローブとケーブルを本体に収納可能

 保管や持ち運びが楽にできるように工夫しています。

使用時はケーブルを引き出して、


プローブを接続


回路


回路はベクモニ用に単純化され、小規模


アンプと電源を秋月P-03250基板一枚に実装
(写真の基板はページで解説しているものと多少異なります)


高抵抗の回路が無く、紙シールを貼付して配線が可能
基板シールをダウンロード
Powerpoint版(seal.ppt)
Word版(seal.doc)
Jpeg版(seal.jpg)



基板(部品面)
(写真の基板はページで解説しているものと多少異なります)


基板(半田面)
(写真の基板はページで解説しているものと多少異なります)


回路図

 低ノイズの電源回路に加えて、念入りな電源フィルタで電源に起因するノイズを低減しています。
 高出力電流オペアンプ(NJM4556)を電源に使用することで、低ノイズの±電源を簡素に実現してます。
 USBのグラウンドと信号のグラウンドが分離されているので、一部のPCでありがちなアースループによるノイズを防止しています。
 初段のFETはVDSを0.6V程度と低めで動作させ、発熱による雑音の増加や特性のふらつきを抑えています。
 ベクモニで利用することを前提に考え、PZCは行なわず、これによって、低域の(1/f)ノイズの影響を軽減しています。高域のノイズは3次の単純LPFで低減しています。
 R10の値はIDSSによって680Ω〜3.3kの範囲で調整が必要です。(最初からR10を3.3kにすれば殆どの場合動作しますが、IDSSの大きなFETだった場合に折角の性能が得られない可能性があります。)
 秋月の2SK170−BLは10本入りなので、その中で一番IDSSの大きなものを選んで使うと良いと思います。



部品配置
お詫びと訂正:赤い点線で囲った部分が間違えておりました。
申し訳ありませんでした。お詫びして訂正します。
Web上でご指摘を頂戴しました。ありがとうございます。


プローブ


10mmシンチにS6775を密着

 少量の光学グリス(ミネラルオイルで代用可)を塗布して密着します。ここでは、アルファオレフィンを利用しています。

プローブ内の回路を配線する

 写真のプローブでは、部品表と異なり1G、1p、100kに2012チップ部品を使用しています。

USBケーブルを接続する

 数センチの銅テープ(幅8〜9mm)二枚を、シンチレータの前面を中心に十字に貼って、回路全体を包みます。少しのはんだで2枚の銅箔テープを接続します。USBケーブルの網線(シールド:外部導体)を銅箔テープに接続します。USBケーブルのアルミ箔は切り捨てます。FETのソースは銅箔テープやUSBのシールドに接続しません。(白線にだけ繋ぎます)これは、信号アースとシールドアースを分離するためです。


サクラペイントマーカーに挿入する

 ペイントマーカーのインクが残っていたら捨てます。ビニール袋に沢山トイレットペーパーを入れて準備しておきます。ペイントマーカーのねじを(接着されて硬いので、軸を手で持ち、プラスチック部分をプライアではさんで)解いて、インクをビニール袋に捨てます。残ったインクを割り箸とちり紙でふき取ります。軸の首の細い部分は切り捨て(カッターの歯と机で真っ直ぐにゴロゴロしていると切れます)ます。紙やすりで切り口を丸めます。
 軽く綿を詰めてシンチレータを先端に固定し、ケーブルの出ている部分をアルミテープで巻いて、完全に遮光します。光り漏れに注意してください。ペイントマーカーの軸はアースに接続しなくても(内部で銅箔テープでシールドされているので、)問題ありません。

遮蔽容器と測定


遮蔽容器

 作り方は別のページにあります。

遮蔽容器の構造


定量の試料を充填


センサカバーを挿入


遮蔽容器にセット


カリウム測定中


モナザイトとバックグラウンドのスペクトル


色々なスペクトル


部品

秋月の購入部品



千石の購入部品


 ページの試作品では、上記の部品ではなく、RS扱いの2012チップタイプの1GΩ(RH73X2A1GNTN)と、2012の1pFを向かい合わせにはんだ付けして、FETのゲートに接続しています。この方が小型になり、ストレー容量の影響が小さくなりますが、はんだ付けが難しくなります。


共立の購入部品



その他部品
品名取り扱い店品番数量
本体ケースダイソーはがき収納ボックス
1
電源ケーブルダイソーUSB充電ケーブル
1
シール用紙ダイソーフリーカットシール用紙
1
プローブ文具店サクラペイントマーカー1
アルミテープDIYショップスリオンテック等少々
水道シールテープDIYショップシール用PTFEテープ少々


おまけ(お楽しみコーナー)


ベニクモの設計は安心の高品質です。



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