VOCALOID入門
表情コントロールプロパティー
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パラメータ設定と合成される音声の関係を
実際の分析結果に沿って説明します。とは言え、合成は
多くの条件を総合して行われますので、場合によっては
ここに示すものとは異なる動作を行います。
表情コントロールプロパティ
ここでは、ピッチベンド、ポルタメント、アクセントと
ディケイを設定できます。
ベンドの深さ
ベンドの深さは先頭部でのピッチの下げ具合を調節します。
深さだけではなく、時間も連動して変化します。
左:ベンドの深さ0 右:ベンドの深さ100
左側:ベンドが少ないとベンドに要する時間も短く、ピッチは
基準より低い周波数で始まり、速やかに基準ピッチに戻ります。
右側:ベンドを大きくすると、基準ピッチより低い周波数で始まり、
そのピッチを一定時間維持したのち、上昇を始めて、基準ピッチに
戻ります。
深いベンドでは、低いピッチが一定時間維持されることが特徴
と言えるでしょう。修飾音符的な効果となります。
音の終りで僅かにピッチが下がっている点にも特徴があります。
ベンドの長さ
「ベンドの長さ」は先頭部のピッチ変化の時間を調節します。
左:ベンドの長さ0 右:ベンドの長さ100
図はベンドの深さを100として、ベンドの長さを変化させた
例です。
右側:ベンドが長くなると、ベンド中に最初のピッチより、さらに
下がり、その後基準ピッチに復帰していることが分ります。
左側:ベンドが短い場合はこの現象は見られません。
アクセント
アクセントとディケイの作用は比較的単純です。アクセントは
先頭部のエンベロープ形状を制御します。
左:アクセント0 右:アクセント100
左側:アクセントが小さいと音はゆっくりと立ち上がり基準音量に達し
ます。
右側:アクセントが大きいと、音は急速に立ち上がり、その後、
短期間で減衰して基準音量に戻ります。
アクセントはピッチ変化には影響を与えません。
ディケイ
ディケイは音の減衰を制御します。
左:ディケイ100 右:ディケイ0
右側:ディケイが0であれば、エンベロープは一定の巾を保ちます。
左側:ディケイが大きいと、エンベロープは次第に減衰しますが、
完全に消音せず、一定レベルに達すると減衰が止まります。
ディケイもピッチには影響を与えません。
自動的に付与されるポルタメント
ポルタメントの動作は多少複雑です。ギャップの無い連続した母音は、
ポルタメントを付加しなくてもピッチを滑らかに変化させて
接続されます。
上行形でポルタメント付加:OFF
下行形でポルタメント付加:OFF
ベンドの深さ:0
ベンドの長さ:前半の3つは0、後半の2つは100
このとき「上行形でポルタメントを付加」及び
「下行形でポルタメントを付加」のON/OFFは、
影響を与えませんが「ベンドの長さ」でポルタメントの速度を
調節できます。
母音におけるポルタメント
母音ではポルタメントを指定しなくてもピッチが滑らかに接続
されます。ですから、意図的にポルタメントを設定する意味がある
のは、音の間にギャップが存在する場合です。
上行形でポルタメント付加:OFF、ON、ON
ベンドの長さ:50、50、0
ベンドの深さ:0
上図の最初の2音は、上行ポルタメントをOFFにしており、
若干のポルタメントはあるものの、後続音は速やかに基準ピッチ
に到達します。
中央の2音は、「上行形でポルタメント付加」が設定されており、
次の音符へのピッチ変化が緩やかになり、聴感
上もポルタメントが感じられます。エンベロープを見ると、
後続音のアタックが減少し、より滑らかに音を繋ぐ工夫が行わ
れているのかも知れません。
最後の2音は、「上行形でポルタメント付加」を設定しています
が、ベンドの長さを0に設定たために、ポルタメントの効果が失わ
れています。
子音におけるポルタメント
ポルタメントの無いア列(アカサタナ)の発音
図は、ポルタメントなして、ギャップの無いア列を発音した例です。
子音を含む歌詞はギャップが無くとも区切って発音され、ピッチの変化も
比較的速やかです。このため、ポルタメント設定はギャップの有無に
関係なく、常に機能します。
ポルタメントを掛けたア列(アカサタナ)の発音
図は、ポルタメント(上行、下行の双方)をONにして、ア列(アカサタナ)
を発音した例です。(ベンドの長さ20)
ポルタメントが設定されても、エンベロープ(音量変化)
に変化はありません。しかし、スペクトルをみると、
ピッチの変化がゆっくりになっています。後続音は、前の音
のピッチから発声を始め、次第にピッチを変化させて、基準
のピッチで安定します。
「ベンドの長さ」を大きくしてポルタメントを掛けた発音
図は「ベンドの長さ」を100に大きくして、上と同様の発声
を行った例です。
ベンドの長さを増やしても、エンベロープ(音量変化)
に変化はありません。しかし、スペクトルをみると、
ピッチの変化がより緩やかになっています。
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