美味しい半熟卵
 お店で出て来るゆで卵は実によく出来ています。白身はしっかりと固まっており、黄身はしっとりと固まっており、決してドロリと溶け出したりしません。
 実はこのようにゆでるのは難しく、中央にある卵黄は65〜70℃で固まりますが、外側の卵白は75〜80℃以上の温度が必要なのです。
 ですから、68度くらいのお湯に20分くらい漬けておくと、卵黄がしっとり美味しく固まった温泉卵が出来ますが、卵白はゆるいゼリー状なので「かぶり付く」と言う訳にはいきません。
 そこで、卵白はしっかりと固まり、卵黄はしっとり固まった半熟卵が出来ないかと、色々と実験した結果、必ず成功する方法が分かりましたので、ご紹介します。



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時々成功した、これまでの方法
 まず、経験的には、小さめのお鍋で水から卵を茹で、沸騰したら火を止めて、蓋をしたまま(ゆっくり温度が下がる)2〜3分放置し、その後蓋を外して(急速に温度が下がる)食べごろの温度になったら取り出すという方法で、気候や鍋の大きさによっては、美味しい半熟卵が出来ることが分かっていました。
 しかし、気温やお鍋の大きさ、卵の個数が変化すると、この方法は失敗することが多く、運任せなところがあります。
 そこで、温度を測りながら茹でて、どのように温度を変化させれば、失敗無く美味しい半熟卵ができるか調べたのでした。

必ず成功する、新しい方法

  1. お鍋に水道水1000ccと卵をいれて蓋をして強火に掛けます。10分で1000ccの水が沸騰する程度の火力を使用します。電磁調理器がお勧めです。
  2. グラグラと沸騰を始めたら、時間を計りはじめます。
  3. 沸騰を始めて1分経ったら、火を止めて、予め計量カップ等に用意しておいた、500〜800ccの水を一気に入れて、鍋の中のお湯の温度を70度に下げます。
    水温が22℃程度なら、入れる水の量は700ccくらいですが、お鍋の大きさや分厚さによって変わります。
    水の量は計算でも求めることができますが、とりあえず500ccくらい水をいれてから、温度計で測りつつ、70℃になるまで水を追加してもかまいません。そのとき入れた水の量を覚えておけば、次からは(水温が同じなら)温度を計る必要はありません。
  4. 再び蓋をして、10分待ちます。
  5. 卵を鍋から取り出して1〜2分水道水に漬けます。
  6. 水道からチョロチョロ水を出し、薄皮と卵白の間に水を入れるようにしながら剥くと、楽にできます。

この方法のポイント
  1. 第1のポイントは、水から茹でて、1分間沸騰を続けることで、卵白をしっかりと固めるところです。しかし、この段階で取り出して食べると、卵黄はまだドロリと液状です。
  2. 第2のポイントは、1分間沸騰した後に、水を入れて温度を急に下げるところです。沸騰したあと、火を止めただけでは高い温度が長い時間加わるので、卵黄がしっかりと煮えてしまいます。
    鍋が小さい場合は、すぐに冷めて運良く成功する場合があるのですが…
  3. 第3のポイントは水を入れて70℃に温度を下げるところです。67℃〜69℃くらいの温度では卵黄はしっとりとソフトに固まります。
  4. 第4のポイントは蓋をして温度を保ちながら、約10分待つところです。例えば68℃に保ったとしても、短時間では卵黄はしっとり固まりません。

実験に使った器具
 結論が出てしまうと不要なのですが、データ取る過程で使用した装置を紹介します。

実験装置全景

電磁調理器とステンレス製鍋、デジタル温度計を使用しています。

電磁調理器

非常に古いものです。電磁調理器が珍しかったころのソニー製(Sonetteブランド)の電磁調理器です。
50℃〜100℃の間の任意の温度で保温する機能がありますが、今回は使用していません。

温度計

横川の2343デジタルクランプメータ(非常に古いものです)のオプションの温度計を使用しています。

鍋蓋の改造

鍋蓋本体に穴を開けるのは嫌なので、鍋の取っ手の取り付けねじと取っ手に穴を開け、ここから温度計を挿入できるようにしました。

温度計を取り付けた鍋蓋

鍋蓋に温度計プローブを取り付けたところです。差し込んでいるだけなので、必要に応じて着脱できます。

温度表示

温度は液晶にデジタル表示されます。

ついでに

卵を切る道具も作ってみました。糸鋸の歯の代わりに、0.2mmのステンレス線(予め延伸しておく)をピンと張ったものです。面白いようにゆで卵が切れます。