乾性(皮膜)潤滑剤 | |
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概要 |
グリスやミシン油でも十分な潤滑効果がありますが、油を差すと埃が付き易くなると言う問題があります。特にベアリングは埃が入ると致命的です。また、回転部分が余分な油を攪拌してしまうので、この為に抵抗が生じます。 この問題を解決する為に、工業的には乾性潤滑剤が使用されます。素材としては、フッ素樹脂、グラファイト、二硫化モリブデン等が利用され、大きく3つに分けられます。 @潤滑剤そのものを皮膜として形成するもの A潤滑剤の粉末をバインダーに混入したもの B潤滑剤の粉末を揮発溶剤に混入したもの 一般にAの方が耐久性に優れ、施工も容易な傾向があります。Bは、溶剤はすぐ蒸発して、「粉が付く」と言うタイプです。また、施工方法には、 @常温乾燥で皮膜を形成するもの A焼き付けで皮膜を形成するもの 等があります。もちろん焼き付けた方が皮膜は強靭になります。 さて、これらの乾性潤滑剤の中で何がミニ四駆に向いているかと言う事ですが、グラファイト、二硫化モリブデンは高温に強いですが、真っ黒になります。(バインダに混ぜたタイプは大丈夫ですが)6B等の柔らかい鉛筆の芯は大方グラファイトなので、火で焼いてワックスを飛ばしてからギア等にぬると、確かに、潤滑します。でも、あちこち真っ黒になって、これなら、油の方がましです。 そこで、お上品なフッ素樹脂がミニ四駆向きとなります。 余談:カーボン入りSXシャーシに混入されているカーボンはこの乾性潤滑剤の一種でもあるグラファイトです。カーボンシャーシの摩擦抵抗が少ないのは、この為とも考えられます。 |
レコードスプレー |
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一番のお勧めです。LP用のレコードスプレーの中には、フッ素皮膜を形成するものがあります。写真はナガオカの「スタットバン562」で、乾燥が極端に早く、数十秒で皮膜が乾燥します。 そもそも、レコード盤に潤滑を与えるものですから、樹脂との相性も良く、走行実験で、グリスやオイルと同等以上の潤滑性能を確認しています。その上、オイルの様に、滴れたり、埃が付いたりしません。非常に気に入っています。 ギヤ、軸受け、ベアリングの全てに使用可能です。さらに、コーティングした前輪に軽くスプレーすると、グリップを軽くする事が出来ます。 粉末を含むのではなく、フッ素樹脂の皮膜を形成します。帯電防止剤が入っているので、車体に薄くスプレーしておくと、コースの汚れが付きにくくなります。 結構大きなボトルで2000円と言う価格も魅力的です。最近LP用品は入手難ですが、通信販売では即納です。 |
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ニチモリDM−100ドライスプレー |
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二硫化モリブデン粉末を樹脂バインダーに混入した乾性皮膜潤滑剤。ニチモリのDM−100です。摩擦係数0.06以下の皮膜を形成します。現在評価中です。良さそうです。 |
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ニチモリDM−520突き出しピン潤滑剤 |
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射出成形の突き出しピンに使われる潤滑剤で、有機溶剤にテフロンの粉末を混入したもので、乾燥後は粉末のみが残ります。残念ながらこの溶剤がABS樹脂を侵すので、別の溶剤に移して使用する必要があります。現在評価中です。良さそうです。 |
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防水スプレー |
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どこでも手に入る防水スプレーです。これは駄目でした。乾燥後もあまり固くならないので、潤滑膜には、なりませんでした。焼き付ければ、良いかも知れませんが、ミニ四駆は大部分が樹脂部品なので、そうも行きません。 |
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乾性皮膜潤滑剤 |
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工業用として作られているFCJ社(ファインケミカルジャパン)の商品です。類似の商品は試した事がありますが、本品はまだ試していません。フッ素樹脂の粉末をアルキド樹脂のバインダーに混入しており、純フッ素皮膜より、耐久性があるとの事です。常温で乾燥して使用出来ます。 同社のホームページで詳しい情報を知る事が出来ます。後日使用レポートをお知らせします。 |
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乾性皮膜潤滑剤 |
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工業用として作られているFCJ社の商品です。このタイプの商品は試した事がありません。フッ素樹脂の粉末を耐熱バインダーに混入しており、皮膜は強靭で高温での特性に優れるとの事ですが、200以上の温度で、焼き付け硬化させる必要があります。従って、樹脂部品には使えません。(一部ポリイミド系樹脂は可能と思います)JFC社は、この他に、フッ素樹脂粉末潤滑剤「TFEルブ」も発売しています。 さらに、強烈なものとして、メーカーは異なりますが、「デフリックコート」と言う処理もあります。これは、フッ素だけではなく、グラファイト、二硫化モリブデン等を用途によって、配合し、バインダも様々利用しており、オーダーメイドになります。 |
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