ビルトッテン『アングロサクソンは人間を不幸にする』
ISBN4-569-61272-5
 資本主義の発展に大きくかかわった、アングロサクソンと呼ばれる人種の由来と、その経済活動を説明して、資本主義が富裕層のより一層の富裕の為にあみだされたシステムであると論じています。

 そして、資本主義が、資本や土地を、労働に比べて過大に評価している点を問題視し、とくに、金融資本主義が貧富の差を拡大し、多くの人々を不幸にすると指摘しています。

 加えて、日本でも主流化しつつある、株価優先の経営では、勤労者の所得を抑制し、これを、資本家がキャピタルゲインとして貯蓄してしまうため、本来なら勤労者が消費するであろう商品が行き先を失い、その売り先を求めて帝国主義が生じるとも述べています。

 また、戦前の教育を受けた松下幸之助や本田宗一郎の経営哲学を高く評価し、企業が資本家の為ではなく、従業員と消費者の為に行動すべきであるとしています。

 ビルトッテンの一連の著作の中で、一番刺激的なタイトルが付けられてるのも、長年にわたる著者の警告にもかかわらず、金融資本主義に対して、日本が、自ら進んで、略奪されるがままの、政策を取り続けている事に、警鐘をならそうとしているためでしょう。

 あらぬ方向へ進んでいる日本を正しい方法に向けるには、国民が熟考して、真剣に自らの代表を選挙せねばならない、と結論付けています。

 ビルトッテン自身がこの理想を掲げて、従業員700名のソフトウェア会社「アシスト」を経営している事もあって、説得力があります。ドクも、アシストワードを愛用していました。

 ビルトッテンは自らの思いをホームページでOur worldとして紹介しており、こちらも、大変読み応えのある内容です。






←1つ戻る ←←目次へ戻る