大爆笑!「アイレン謎解きコーナー」
懲りずに登場した「12月バージョン」 なんともうしましょうか、重ね重ね申し訳ないコーナーでございます
以下の記述について
 アイレンは、その背景を詮索したり、謎解したりするような、無粋な話ではなくて、しみじみと味わうタイプの話だと思うのだけど、やっぱり、色々と妄想してしまうのは、仕方のないところであります。

 物語が未だ完結していないのに、謎解きをしたら、当たるはずないし、恥をかくだけですが、それでもなお、ドクの考えた、「アイレンの背景はこれだ(2001年12月バージョン)」は以下の通りです。笑ってやってください。

 12月バージョンでは、従来の解釈に加えて、種の寿命を定め、イクルに取りついて他者となっているものを、「非DNA(遺伝)因子(NDF)」と考えてみました。これは、当時の科学では解明できない遺伝機構であり、生命力の源泉です。
 ハルカ先生が「人間にはダメなのです」と語った「他者」を科学の産物ではなく、自然の産物と考えています。
 また、イクルが「他者」と考えているものが実は「自己」で、「自己」と考えているものが「他者」である、とする、安易などんでん返しも盛りこんでみました。(これら、目新しい部分はボールドにしてます)。
 この説では、ようやく「イクルに巣食っている他者は、ハルカ先生でも分析できなかったこと」の説明に成功ています。
しかし、きっと沢山問題があると思いますので、気づかれましたら、ぜひお知らせ下さい。
ドクにメイル(doku@newon.org)

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1.温暖化と地域紛争
 2009年、破綻した資本主義体制に代わって出現した、効率的な新経済体制(仮称:プラウト)のもとで、人類は地味ではあるが、平穏な日々を送っていた。
 そのような中、既に、CO2等の温暖化ガスの排出は減少しているにもかかわらず、2011年頃より、地球温暖化が顕著になり、極地の氷が溶解して海水面が上昇し始めた。原因は不明である。そして、2019年には、海水面の上昇により、平地面積は極端に減少し、農業用地、生活用地ともに激減した。
 その結果、僅かとなった陸地を奪い合って、世界各地で地域紛争が発生した。とはいえ、新経済体制と大気候変動の為に、兵器の生産は停滞しており、前時代の遺物として廃棄を待っていた、生物兵器、化学兵器、核兵器を用いて、パッとしない戦争が行われた。
 戦争は長期化するかに見えたが、多くの生産設備を失った人類は、もはや戦争を継続するだけの兵器を生み出し続ける力を持たなかったし、大量破壊兵器で人口が激減したために、2021年には、戦火は尻すぼみになる形で止んだ。
2.NAGI誕生
 残り僅かとなった人々は、汚染を免れたシェルターや、宇宙ステーションで、細々と生活していたが、汚染によって生殖能力を無くしてしまったし、備蓄された食料も残り少なく、人類の滅亡は秒読み段階へ入った。
 そこで、旧日本では、この有毒環境に人類を適応させるべく、国立遺伝子改良協会(National Association of Gene Improvement(NAGI))が設立され、人類及び、関連生物の汚染環境への適応が研究された。
 2023年、協会は、最初の研究成果である「対汚染環境遺伝子組込用レトロウィルス(仮称:希望)」を完成した。このウィルスは、目的とする生物の細胞に感染して、汚染環境に適応できる遺伝子を組み込む作用を持つ。以後、ヒト用はもちろん、各種動植物用のウィルスが量産され、利用された。
 この結果、比較的軽微な汚染環境下では、人類やその生活を支える生物の生存が可能となった。しかし、強度に汚染された地域には、依然として近づけなかったし、そのような地域から飛来する物質には、用心する必要があった。
 このような努力にも拘わらず、種の寿命を克服する目処は立たなかった。遺伝子をどのように操作しても、低下する出生率と、短縮する平均寿命をくいとめる事が出来なかったのである。
 一部の研究者は、種の寿命等が、DNA以外の何処かで定義されていて、それが、DNAの機能を支配している事に気付き、これを「非DNA因子(Non DNA Facror)」と呼称する。とはいえ、その在り処や働きは解明されそうにも無かったし、学会からは、オカルト的な亜流理論と見なされた。
 このような訳で、人工授精による生殖や、強化された遺伝子修復酵素の働きにも拘わらず、このままでは、人類の種としての寿命は残す所200年と予想された。人類は、平穏な、そして確実な滅亡を待っていた。
3.分裂
 種の寿命に対抗すべく、2029年、政府は協会に対して、遺伝情報を保存する計画の推進を要請する。つまり、優良な遺伝子を選んで、その配列を安定した媒体に記録・保存し、これをもとに、次の世代を生み出して行くことで、環境汚染による遺伝子の破壊に対抗すると言う計画である。
 人類滅亡を回避した実績を持つ協会は、既に、莫大な予算と強い発言力を獲得していたが、この計画によって、さらに立場を強めた。そして、協会は、計画の第一ステップとして、破損されていない優良なヒト遺伝子の収集と復元を開始した。
 しかし、この作業は難航した。「優良」の定義が明確に出来なかったからである。例えば、環境の影響を受けていない戦前の遺伝子でさえ、様々なバリエーションがあり、「ある遺伝子を持つ人間と、それを持たない人間のそれぞれ構成する社会が、互いに共存できない可能性が高い」といった面倒な問題が続出した。この結果、2031年、「NAGI」は以下に上げるような複数のグループに分裂し、各グループは独自の研究を開始した。
3.1.薙
 グループの一つである「薙」では、自ら薙と名乗る研究者が新人類の創造を目指して研究を進めていた。薙は技術のレベルも高かったが、名前の通り攻撃的で独善的な性格を持っていた。
 2047年、薙は、「人類の究極の姿」と定義するスゥイックス「ハルカ」を誕生させた。ハルカは恐るべき知能で、遺伝子研究を推進すると同時に、他派や政界に対する工作活動を展開し、他派が弱体化する中、薙の存続を維持した。
 ハルカは、2052年、原種保存を目指すグループの研究拠点であるスペースラボの爆破を決行した。
3.2.HITO
 HITO(Human Information Technology Organization)と自称するグループは、蛋白質という実体を捨てて、コンピューターによるシュミレーションの中で純粋に情報的に人類を存在させる事を目指したのである。
 つまり、遺伝情報を元に、ヒトの発生、成長、活動、等をすべてコンピューターの内部でシュミレーションすることで、環境の悪化にかかわらず、人類を存在させようとした。
 そして、その存在基盤として、組織の保有するコンピューターだけではなく、任意のコンピューターに常駐し、ヒトのシュミレーションを実行するウィルスプログラムを開発し、ヒトは世界中のコンピューターの中に広がって行った。
 情報化されたヒトは、コンピューターと密結合しているため、情報の操作に長け、後に、他の人々を驚かすような幻影を作り出すことになる。HITOはその存在や研究成果を公開することなく、密かに研究を続けた。
3.3.オリジン
 自然に存在する遺伝子に手を加えずに利用すべきであると考えるグループは自らをオリジンと呼称した。
 オリジンは、スペースラボを拠点とし、原種(環境汚染前のヒト)の遺伝子サンプルを多数収集して保存していたし、自ら原種である者も含まれた。
 しかし、汚染された地上では、原種は生活することができない。
 そこで、当初、彼らは多くの人造遺伝子の実験体を作って、原種を汚染環境に適応させる実験を行った。しかし、これらの試みはことごとく失敗し、多くの不幸な廃棄個体を生み出したに過ぎなかった。
 これらの個体の一体が偶然福祉課に回収され、原種と知られぬままに、アイレンとして再生利用される事になる。
 原種の汚染環境適応に失敗したオリジンは、次善の策として、コールドスリープによって、地上の汚染が浄化されるのを待つ手段を研究しはじめた。
 イクルは、このスペースラボで、父母の希望により原種として誕生した。しかし、2052年、スペースラボは薙のテロリストに攻撃され、爆発を起こす。
 殆どの乗組員がこの事故で死亡するが、最後の原種として、イクルだけは、カプセルで脱出する。しかしこのとき、生命は新たな可能性を生み出した。つまり、イクルのNDFに新たな変異が生じ、汚染環境の中で生き残ることの出来る強烈な生命力が生じたのだ。しかしその後、この新たなる力は、旧来からのイクルであり、後に他者と呼ばれる者との、激しい葛藤を演じなくてはならなかった。
3.4.BEAST
 人類の知恵こそが、自然破壊の原因であると考える一派は、人間から知恵を奪い、野獣に還元することこそ正しいと考えて、研究を進めた。
 彼らは、この目的で新種の生物兵器「呪い」を完成し、これを用いた大規模なテロを計画しつつあった。
 「呪い」は、脳内で生成される蛋白質であると同時にその雛型となる物質に変異を加えたものである。この物質が脳内に取りこまれると、本来の物質に代わって合成されるものの、代謝はされないので、脳内に蓄積し、ついには、脳組織を破壊し、人間から知能を奪うというものである。
4.出会い
 イクルに発生した新たな可能性は、別の個体にも発生していた。それも、実に意外なところで…。アイレンとして再生された一人の少女も、原種でありながら、NDFに生じた新たな変化によって、汚染環境の中で生存することが出来た。そして、同じ運命を背負った2人の人間が、福祉課の素体保存室で出会う事になる。これが、アイレンの物語の発端である。
 イクルは数ある素体の中から、ただ一体だけに、本能的な強い興味を感じた。原種であるために、生殖能力を維持しているイクルは、地上では生殖の相手を見つけることが出来ずに絶望していたが、凍結されたその少女に、自分の生殖相手としての可能性を感じ取り、本能的に生気を取り戻したのである。