温熱抱き枕
概要  前回発表した温水循環人形は、温度分布等においても理想的な特性が得られます。しかし、制御にPCが必要であること、徐々に失われる体液を補充する必要があること、等の実用上の不便があります。

 そこで「体温を保持する」という機能にのみ注目して、温水循環機構に代えて、シンプルな電熱機構を内臓しました。

 結果は良好で、布団の中で抱いて寝ると言う用途に限定すれば、温度分布特性も許容範囲内で、暖かく、やわらかで、安らぎの感じられる抱き心地が実現できました。

 老人医療で利用される人形療法等においても、効果が期待できるのではないかと思います。


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アイデアの名称  発熱体を内蔵した抱き枕
掲載した日付  2002年12月14日
従来の技術と改善点  従来から就寝時に、物理的に身体を支え、これを安定させる目的で、また、ペットや子供を抱いているような感触によって、精神的に安らぎを与える目的で、抱き枕が利用されていた。
 しかし、特に冬季において、抱き枕の温度が低下するために、利用時に冷たく不快に感じるので、利用が妨げられる、あるいは、利用効果が十分に得らない場合があった。
 本アイデアは、抱き枕に発熱体を内蔵することによって、暖かな感触が得られるようにし、前述の問題点を解決するものである。
アイデアのポイント (1)発熱体を内蔵することによって、暖かな感触が得られるようにした抱き枕。
(2)人に似せた外形に加工して、利用時に安らぎを得られるようにした(1)の抱き枕。
(3)複数の個別に制御可能な発熱体を内蔵して、各部分の温度を適切に制御する(1)の抱き枕抱。

ヒーター
 3ミリのシリコンゴムパイプの中に、0.25ミリのステンレス線を通して、パイプの中にシリコンゴムを充填して硬化させます。
 やわらかで、屈曲にもつよいヒーターができます。


シリコンパイプの中にステンレス線を通すには
・2階の窓から、シリコンゴムパイプを下に垂らします。
・洗面器に水を張り、サイフォンの原理でパイプを通じて階下に水を流します。
・水の流れに乗せて、ミシン糸を通します。
・ミシン糸の通ったパイプを水平に真っ直ぐ張ります。
・ミシン糸の一方にステンレス線を括り付けます。
・ミシン糸を引っ張って、ステンレス線をパイプに通します。

胴体背部の配線
 胴体の布に、ところどころ縫い糸で括り付けて、ヒーターを固定します。

首部の配線
 頭にもヒーターを配線します。写真は、胴体に配線されたヒーターが、頭に入る部分です。

腕部の配線
 腕にもヒーターを配線します。

全体図
 Mars氏製作のパジャマを着せたところです。ネルのやわらかな風合いで抱き心地も上々です。
 体内にNiCd電池(10本)を内蔵しても、3〜4時間しか動作できませんので、外部電源で駆動しています。
 電線は左足の部分から出ています。

温度制御
 身長45センチの人形であれば、3〜4W程度の電力で布団の中で抱いて寝た時に、適当な感触が得られます。今回は、ヒーターの抵抗値が40Ωなので、12Vを印加しています。
 ただし、このような微小電力では、適温に達するまで2時間くらいかかりますので、迅速に目的温度に達するように、帰還制御を行うのが理想です。たとえば、ヒーターをブリッジの一辺に入れて、抵抗値を監視しながら、電流を制御するのが良さそうです。