子供とアニメを楽しむ
 今も、子供をターゲットに、TVでは沢山のアニメを放映しています。通常の親であれば、アニメの良し悪しは見分けが難しいので、一見、性的あるいは暴力的な表現がなければ、子供に見せることでしょう。
 しかし、親がお宅の場合は話しが違います。お宅が見れば、「しょうもない」アニメは一目で分かりますから、これを子供に見せる気にはなりません。
 ところが、お宅の目から見ると近年はアニメ不作の時代で、優良な作品が少なくなっています。そこで、過去の録画や貸しビデオなどで面白そうな作品を選んで見せることになります。
 このような訳で、子供に見せようとドクが選んだ作品の中から、喜んで見ると思われる学齢を併記して、いくつかご紹介します。

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パンダコパンダ
年少〜年長
 この作品は、幼稚園年中ぐらいで十分理解できますし、また、見れば相当喜びます。それは、子供の喜ぶ演出が巧みに盛りこまれているからです。
 子供に理解できる形で、独立心、思いやり、勇気、といったことが適切に表現されています。
<お宅トーク>
 実に純粋な作品で見事な出来映えです。この年齢層向けのこういった優良なアニメは非常に少なく、ぜひもっと作って欲しいものです。この年齢層向けには、知育ビデオ紛いのええかげんな作品が多く、悲しいです。
 もちろん、続編の『雨降りサーカス』もとても良い作品です。

アンデルセン童話 にんぎょ姫 (東映)
年長〜オヤジ
 子供をアニメになじませるには、最初は劇場用が良いでしょう。TVシリーズと違って、何本も見せる必要が無いからです。
 人魚姫の筋書きは子供でも知っています。しかし、東映の人魚姫は巧みな演出で、たとえ筋書きが分かっていても、感受性の高い子供なら、泣いてしまいます。
 たしか、沖縄海洋博協賛だったので、そのくらい昔の作品です。
<お宅トーク>
 見せ場は、王子の結婚式が終わってからの部分です。
 物語の前半部分ではミュージカル調の明るいトーンで紹介された大杉久美子の歌うサブテーマ『待っていた人』が、ここでは、薄暗い夜明け前の海と、その波音を背景に、ア・カペラでゆっくりとスタートします。(おお、たまらん)
 王子殺害を諦め、愛するが故の死を受け入れる時の人魚姫の表情が、美しくも毅然たるものとして見事に表現されています。
 アンデルセン追悼100年作品である為か、原作に忠実で、主人公は最期に水の泡になってしまいます。ディズニーのリトルマーメイドのように、ハッピーエンドではありません。(アンデルセンが、リトルマーメイド見たら怒ると想像します)

ペリーヌ物語
日本アニメーション
3年〜4年
 あらすじだけ聞くと、いかにも良くあるストーリーなのですが、丹念にエピソードを投入して、主人公を描ききり、強い感動を与えます。
 世の中が便利になって、家族の重要性が忘れられているところに、今日の社会の乱れの一因があると推察しますが、ペリーヌは、まさに、この「家族」という問題に取り組んだ作品です。
 ペリーヌは、「生活を助けてくれる家族」ではなくて、「自分を愛してくれる家族」を探し求めました。
<お宅トーク>
 見せ場は、2箇所あります。ひとつは、パリで母と死別する部分、もうひとつは、祖父が、主人公を孫と知る部分です。
 ところで、ペリーヌの提案で、ビルフランの目指す事となった「高福祉企業」はうまく行くでしょうか。当面は今までの蓄えでうまく行ったとしても、最終的には福祉を犠牲にして、コストを下げた企業との競争に勝てるでしょうか。また、勝てるとすれば、それはなぜでしょう。このようなテーマで子供達と議論すると良いでしょう。
 さて、前半部分の旅ですが、より合理的な方法で、3人とも無事パリに辿りつく方法があります。
 まず、ギリシャに付いたら、馬車やロバを買わずに、指輪とカメラを売って現金化し、手ぶらで、宿場から宿場へと馬車を出してもらうのです。
 馬車代に5フラン、宿代に2フラン取られても、一ヶ月210フランですから、なんとかなると思います。しかし、その旅では、あのペリーヌには成長しないでしょうね。

疾風アイアンリーガー
日本サンライズ
年長〜2年
 三頭身のロボットが、野球やサッカーをする作品です。
 反則が横行する中で主人公が属するチーム「シルバーキャッスル」はどこまでもフェアプレーを貫きます。
 この作品の凄いところは、「それが、正しい事だから、フェアプレーをしなくてはならない」のではなくて、「それが喜びだから、フェアプレーをしたい」と心から納得させてしまう事です。
 「この世には正義が必要だ、それは、それが、喜びだからだ」と、そう確信する事でしょう。
<お宅トーク>
 例えば、アンパンマンを見るとき、子供達はアンパンマンやその仲間達のいかにも善良な行動には興味がありません。心の中では「バイキンマンの悪巧みが成功しますように」と応援しています。ですから、アンパンマンが教育的かどうかは、この事を加味して判断する必要があります。
 これとは違って、疾風アイアンリーガーでも、同じく「ダークプリンス」が反則プレーをしますが、子供達は確実に「がんばれシルバーキャッスル」と祈ります。これが、この作品の凄いところです。

牧場の少女カトリ
日本アニメーション
3年〜5年
 相当格調高いアニメなので、子供の目が肥えてからでないと、ちょっと味わえないかもしれません。
 出会いと別れが主なモチーフとなっている作品で、全体の流れは(たとえ、牛が熊を角で突き殺すシーンでも)比較的淡々としています。
 人間が「どのような特性によって」、「良き人」や「良きチャンス」に恵まれ、「幸せに成ることが出来るのか」という重要な事を教えてくれます。
<お宅トーク>
 ペリーヌの生活と、カトリの生活を比較する事で、産業革命とは何だったか、その功罪は何か、という点を子供と議論すると良いでしょう。
 カトリがアンデルセンの「醜いアヒルの子」を読んでいて、思わず泣いてしまった時の奥様の言葉、「あなたも白鳥になりたいのね」というのがたまりません。
 しかし、よくもまあ、こんなアニメをテレビでやれたもんだ、昔はよかったなぁ。

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