モデラの両面加工治具
概要  モデラで複雑な形状を削り出す場合は、両面から加工する事になります。この場合に、各面からの加工に、位置ずれが起きないように、注意しなくてはいけません。

 メーカーの説明書によれば、加工材の下に、捨て板を敷いて、この板に穴を開けてピンを立て、位置合わせをする方法が紹介されています。しかし、この方法では、捨て板が必要ですし、いちいち穴を開けるのが面倒です。

 そこで、治具を工夫し、両面加工時の位置合わせが簡単に出来るようにしました。


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原理
<位置合わせの原理>
 両面削りの位置ずれを防ぐ方法には、2つのポイントがあります。一つは、材料を正しい角度で取りつけること、もう一つは、材料を正しい位置に取りつけることです。
 そこで、この治具には、X軸と正確に平行に仕上げた面があり、この面に、材料を押し当てて固定することで、角度と、Y軸の位置合わせが出来るようになっています。
 さらに、X座標で100ミリ(中央付近)の位置に溝があり、最初に、この溝を100ミリの位置に合わせて治具を固定した後に、材料の中心をこの溝に合わせることで、X軸の位置合わせが出来るようになっています。

<注意点>
 モデラは電源投入時に原点合わせをしますが、必ずしも正確ではないようです(ひょっとしたら、正確かもしれない)。そこで、両面削りの時にずれてはこまる材料の反転軸のX座標は、ワークプレートの遊びを利用して調整出来るようにしています。

全景
 治具をモデラに取りつけたところです。ワークプレート手前の茶色い部分が治具です。

ワークプレート
 治具はワークプレートに取りつけます。
 写真に赤丸で示した部分に、3ミリの平行ピンを貫通させてあり、ワークプレートと治具が正確に固定されます。
 写真に青丸で示した部分は、ワークプレートをモデラに取りつける穴です。この穴は6×4ミリの長穴が開いていますが、位置合わせの範囲を広げるために、6ミリの丸穴に開け直します。
 この穴を利用して、ワークプレートをテーブルに固定し、同時に、ワークプレートと治具を固定します。固定ネジは、治具を貫通するので、付属のネジよりも、長いものを利用します。

治具の溝
 治具を材料の方向から見た図です。
 治具の中央(X=100ミリの位置)には幅3ミリの溝があります。この溝をちょうどX=100に位置決めし、同時に、素材の反転軸ををこの溝に合わせることで、裏表反転に伴う位置ずれを無くします。

位置決めピン
 先端を3ミリに加工して、6ミリの磨きシャフトです。
 このピンをエンドミルの代わりに、スピンドルに咥えて、治具の位置合わせを行います。

位置決め
 位置ずれをなくすためには、治具の溝が、正確にX=100の位置になくてはなりません。そこで、次のような簡単な位置決めを行います。
 先ず、位置決めピンをスピンドルに咥えます。
 次に、ワークプレートと治具をテーブルに載せ、左右2本の固定ネジはゆるい状態に締めて、テーブル上で、ワークプレートが動く状態にします。
 続いて、スピンドルを回転させずに、X=100、Y=1の位置へ刃物を移動させ(自作ソフト「モデラ職人」を使用して行っています)位置決めピンの先端を溝に嵌め合わせます。
 この状態で、ワークテーブルを手前から奥へ軽く押しながら、左右の固定ネジを締めて、固定します。
 これで、溝の位置は、正確にX=100になります。

材料の位置決め
 材料の手前面、中央付近には3ミリの穴をあけ、直径3ミリの短い平行ピンを挿入します。材料はこのピンを中心に反転させます。
 因みにこの材料はMars氏が持ちこんできたパーティクルボードで、価格が安いのは良いのですが、ぼそぼそで、削ると毛羽立って、よろしくありません。


材料の固定
 材料の手前面を治具に密着させ、挿入した平行ピンを治具の溝に嵌め合わせて固定します。反転させるときも同様です。
 また、モデラプレーヤーのレイアウト設定で、加工物の中央がX=100となるように、「左下x」を設定します。例えば、データの横サイズが60ミリであれば、加工の中央がX=100となるように、「左下x」には、100―(60÷2)=70ミリを設定します。


加工例1
 抱き人形の脛のパーツです。大型の中空円錐なので、2つ割で成形する必要があり、その嵌め合わせ用の段付け加工も必要なので、両面からの加工となります。
 写真は裏面で、中空の加工と嵌合用の段加工を見ることができます。


加工例2
 同じワーク表面です。ふくらみのある円錐形に溝加工がなされています。